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2019

November

【誠恵高校×スタディサプリ】 今の「全力」の10倍を出してほしい。 現役東大生コーチが伝えたこと

2018.08.30

高校3年生の夏は、これまでとは違う。

大学受験に挑む日本中の多くの高3生がそう感じ、意気込み、それぞれの夏休みを過ごしたことでしょう。その熱さは、近年まれに見る酷暑のせいばかりではなかったはず。

「スタディサプリ合格特訓コース」に参加する誠恵高校の8人も同じです。本当に自分の全力を出して勉強できているか。自分で勝手に限界を決めていないか。そんなことを考えながら夏休みを過ごしました。

なぜ8人が強い思いを持つことができたのか。そこには、現役東大生であり、漫画『ドラゴン桜2』の勉強法・受験情報を提供する東大生チーム「東龍門」のメンバーである西岡さん、小川さんの力強いメッセージがあったのです。

時計の針を少し戻しましょう。夏休みを目前に控えた7月のある日、東京からやって来た西岡さんと小川さんは8人を集めて、固い表情で話し始めたのでした。

今の「全力」の10倍を出してほしい

「これまではチャットや電話でやり取りをしてきましたが、今日改めて、直接みんなに会うことができました。普段はなかなかじっくり話せないことも伝えたいと思います」

まずは西岡さんがそう語り始めました。

「みんなにはこのスタディサプリ合格特訓コースに参加してもらっていて、なかなかいいペースで勉強が進んでいるな、

……とでも、僕が言うと思いましたか?」

初めてコーチと対面できたのだから、まずはお褒めの言葉があるのかと思いきや、西岡さんの言葉は8人にとって予想外でした。誰かが「……思っていました」と小さく答えます。

「ちなみに今、全力でやっている人はどれくらいいる?」と問いかける西岡さん。手が挙がったのは1人だけ。でもその光景は、西岡さんたちにとっては想定内だったようです。

「今日、僕たちは、みなさんに全力で頑張ってもらおうと思って来ました。『現時点でもまずまず全力を出しているよ』という人もいるかもしれないけど、その全力のさらに3倍を出してください。

そんなことを言われてどう思うか。みんなの頭の中で考えていそうなことを当ててみましょうか。

『自分の志望校に向けては全力で頑張っているけど?』
『さすがにこれ以上はやる必要がないんじゃない?』
『ちょっとは偏差値を上げないときついけど、まあ何とかなるだろう』

そんな感じじゃないでしょうか? 当たってますか?」

教室中に通る声で話を続ける西岡さん。「……当たってます」。再び誰かの消え入りそうな声が聞こえてきました。

「まあ、そう思うよね。僕も昔はそう思っていました。軽く大学を目指して、何とかなると思って中途半端にやっていました。でもみんな、そんなに甘くないんだよ。今の3倍、いや10倍は勉強しなきゃダメなんだよ。

なぜそう思うのかを話します。ちょっとだけ付き合ってくださいね。ちなみにE.K君は志望校が東洋大学です。倍率は4倍。この中で最も競争が激しいK.O君の法政大学は8倍です。東洋大学は4人に1人、法政大学は8人に1人しか受かりません。そしておそらく、この4倍や8倍といった難関をくぐり抜けて受かる人というのは、もっと上の大学を目指している。不本意ながら第2志望以下で受かるという人が多いと思います。それが現実です」

少しずつ、8人の顔が強ばってきているようです。

「みんなが全力を出していないとは思わないし、現時点で頑張っていることはよく分かっています。部活とか、大変なこともいろいろある中で頑張っていることは分かっています。でも足りない。今のままでは足りない。

夏休みを過ぎる頃には、「勉強がつらいから第1志望を変えよう」という人がたくさん出てきます。それで勉強時間が減っていく。最終的には第2志望や第3志望にも受からないという結末になっちゃうんです。さっきから怖いことばっかり言っているようだけど、これが現実なんです。そんな危機感を持っていますか?」

自分をあきらめることを、あきらめろ

西岡さんの声だけが、静かな教室に響いていました。

「……と、そんなふうに偉そうなことばかり言っているんですが、それにはワケがあります。それは僕たち2人も同じ状況だったから。それを今から話したいと思います。今日、僕の高3のときの模試の実物を持ってきました。東京大学を目指していた僕の、このときの偏差値はいくつだと思いますか?

62くらい? 70くらい? そう思うよね、東大に行くなら偏差値75くらいは必要だから。でも違うんです。実際の僕は偏差値35。英語は100点満点中、なんと3点でした。はっきり言って、ここにいるみんなの誰よりも勉強ができなかったと思います。

だけど全力でやって、2浪したけど、東大に合格してやりました。そんな人間だから、みんながもっと全力を出せることを知っているんです。全力でやればちゃんと合格できるということも、僕の過去が証明していると思います。だから口うるさく言っているんです。みんなに合格してほしいから。

僕は偏差値35で、しかもいじめらっれ子でした。小学校でも中学校でもいじめられていました。高校に入ってからも。

ある日、ペットボトルのキャップのところで頭を殴られました。血が結構出て病院に行ったんです。そこで学校の先生に『お前はこのままでいいのか?』と言われました。『バカにされて、いじめられて、勉強も全然できないで、そんな状態でなあなあで生きていて、このままでいいのか?』と。

僕は『それでいい』と答えました。自分はそういう人間だからいじめられるのも仕方がない。勉強は全然分からないし、何か熱中できるものがあるわけでもないし、何の才能もないし、まあいいんじゃない? と言ったんです。

そうしたら、その先生が答えました。『いいわけないだろ!』って。『そんなんでいいわけないだろ! お前はこのままいったら本当にダメになるぞ。何にも熱中せずに人生を終えることになるぞ』と。

そして先生から言われたのは『大学受験でてっぺんを目指せ』ということでした。

『東大を目指して本気になれ』
『いやでも先生、俺は俺なりに勉強してきたけど全然成績が上がらなかったよ』
『そんなことはない。部活を精いっぱいやりながら本気を出して東大に受かっている人もたくさんいるんだ。本気を出せ』

そんなやり取りを経て、いまいちよく分からないまま、東大を目指してみることにしたんです。

これで1年後に受かっていたらものすごいサクセスストーリーなんだけど、結果は落ちました。見事に落ちました。東大って、A判定からE判定までの結果が合格発表の次の日に届くんですが、E判定でした。

先生にそれをいったら、『お前はまだやっていないことがある。運に乗っていないんだ』と言われました。その学校には進路指導の先生はもちろんいたし、自習室には勉強法をいろいろ教えてくれる本もたくさんありました。でもそうしたものを全然活用していなかったんです。『あるものを全部活用して受かれ。運に乗れ』と先生は言いました。

その言葉を真に受けて、もう一度頑張りました。これで受かっていればよかったんだけど、また落ちました。2年続けて落ちると、もう精神状態が限界に近くなります。結構きついです。

また先生のところに行きました。『もう俺には無理だと思います』と。そうしたら先生は『あきらめろ』と言ったんです。あれだけ東大を目指せと言い続けていた人が、あきらめろと。でも先生の真意は違いました。

『お前はバカかもしれないし、やってもやっても合格できないかもしれない。でも、自分をそんなふうに思い込もうとすることはもう、あきらめろ。東大を目指すことをあきらめるんじゃない。自分をあきらめることをあきらめるんだ』と。

いや、何言っているのかちょっとよく分からないって、最初は思いましたよ。

でも自分の中でまた一つ、開き直ることはできました。だからもう一度、基礎から、中学1年生の教科書からやり直したんです。今まで自分がやってきたことはすべてあきらめて、分かっているはずだと思っていたことも全部、勉強し直しました。すると東大模試で4位になり、3回目でようやく合格できたんです。

僕はそんな人間です。その経験をもとに、みんなに『運』を提供したいと思っています。みんなは、今、日本で最も恵まれている高校3年生です。なぜなら僕たちがいるから。僕と小川くんがいる。何と言っても2浪しているから、みんなが何を苦しみ、どこでつまずくかも予想できます。

その上で、やっぱりみんなはもっと勉強しなきゃダメだと思います。今の3倍、10倍、勉強するべき。そうすれば絶対に合格できるはずです。できないな、難しいなと思うことがあったら、僕と小川君が全力でサポートします。だから運に乗ってください。今までの自分を全部捨てて、全力で頑張ってください」

「小さい頃に読んでいた絵本」からやり直した

西岡さんに続いて、小川さんも話し始めました。同じく現役東大生である小川さん。しかしその受験体験も意外性に満ちたものでした。

「僕もいわゆる『できるほう』ではありませんでした。

僕は青森県蓬田村という、人口2800人くらいの小さい村で育ちました。1学年に1クラス、20人くらい。『勉強ができるからすごい』と言われることもないような環境でした。僕はそんな村で、どんなに頑張っても学年で4番くらいにしかなれなかったんです。本当に勉強ができなかった。

実は僕は、普通の人より2年遅れて大学に入っています。なぜかというと、中学時代に不登校だったからです。中2の夏休みくらいから卒業するまで、ほとんど学校へ行っていません。いじめにあったり、親友に裏切られたり、野球部の部活に挫折したりしたことがきっかけで、毎日家にこもって過ごしていました。

なので、勉強なんて全然やる気になりません。好きな野球に関する小説を読んでも、1行目から文章の意味がわからなくて進みませんでした。日本語が読解できないんです。簡単な小説なんですけどね。そんなこともあって、本当に自分に絶望していました。

小説が読めないから、小さい頃に読んでいた『ひらがなだけの絵本』から読み直しました。それで少しずつ、文章が読めるようになっていったんです。

数学でも、2ケタの筆算ができません。繰り上がりという概念が分からなくなっていました。それでも時間は無情に過ぎて、中学を卒業しなければいけなくなり、形だけ高校受験をしたもののうまくいくわけがありません。それで『高校受験のためにもう1年頑張ろう』と考えました。

鬱に近い症状で日常生活もままなりませんでしたが、ようやく普通に暮らせるようになってから英語の授業も受けました。でもbe動詞が分からなくて絶望。英会話は習っていたので英語なら少しは……と思っていたけど、それも全然分からなくなっていたんです。

そこで、主語の対応表を1週間必死に覚えて、それでまた授業に行ったら、何とかついていけるようになりました。それからは本気で、必死でやれば何とかなるという感覚を持てるようになりました。でも高校受験の本番では結果を出せず、2年浪人して、進学校ではない私立高校に入りました。

今思えば、その経験が生きている面もあります。中学校の英語を必死で勉強した結果、高校の英語も比較的難なく理解できるようになったんです。中学英語には重要な基礎がしっかり詰まっているんだと思います。

そんな感じで、僕は英語のおかげで高校の成績は県内でも上から50番目くらいに入っていました。それで『これからは勉強で勝負していこう』と決めたんです。『それなら東大を目指そう』と。

東大を目指した理由はいくつかあります。一つは自分と同じような引きこもりを経験している生徒に勇気を与えたかったということ。自分と同じように苦しんでいる子を救いたいと思ったんです。

もう一つは、高校に恩返しがしたかったから。僕は高校入試に失敗しました。でもその私立高校は拾ってくれた。2浪した自分を受け入れてくれたことに本当に感謝していました。だから僕が努力して東大へ行けば、その高校の評価が見直されることにもつながるんじゃないかと思いました。自分のためだけに頑張ったんじゃないんです。

この中にも難しい志望校を狙っている人もいると思います。受かったら、本当にヒーローです。周りのみんなが喜んでくれます。

さっき西岡さんは『運』と言いましたが、全力で応援してくれる学校の先生がいて、受験を乗り越えて来た2人のアドバイスをもらえ、スタディサプリという味方もいる。こんな環境はなかなかないと思います。だから、無駄にしないでほしい。裏切らないでほしいんです。

僕は高校3年生の夏休み以降、朝の4時に寝て、朝の5時半に起きるという生活をしていました。1時間半しか寝ていません。本気で死ぬほど勉強をしました。それでも1回目は届かなかった。今にして思えば、努力はしていたけど、方向性が間違っていたのかもしれません。みんなには今、努力を正しい方向へ向けるための環境が用意されています。この環境と2人の東大生を、全力で利用してください」

*****

「自分たちのことを利用してほしい」

最後にもう一度、西岡さんと小川さんは言いました。使えるものを最大限に使い切って、「自分の本当の全力」を知ってほしいと。

そうして1時間が過ぎる頃、8人は、西岡さんと小川さんに負けないくらい真剣な表情をしていました。ここから始まったさらなる特訓。みんなの「全力」の先にある限界値は、どこまで伸びていくのでしょうか。

その答えが見えてくるまで、あと6カ月――。